振り飛車では飛車を横に動かして攻める関係で、玉を右辺(居飛車なら左辺)に移動させてから囲うのが基本です。振り飛車の囲いは美濃囲いを起点に、高美濃囲い・銀冠と発展させる「美濃系」が中心で、このつながりを理解しておくと囲い選びがスムーズになります。
美濃囲い
※図の左半分は四間飛車の攻撃陣です。どの振り飛車戦法を選ぶかによって攻め駒の位置は変わります。
設計思想:玉を端に寄せ、金銀3枚が自然に連結する形
振り飛車の代名詞ともいえる囲いで、振り飛車を指すなら美濃囲いを覚えれば間違いないというほどの定番です。優れた点は大きく3つあります。1つ目は「玉を大きく右に移す」ことで戦場から遠ざかること。振り飛車では飛を中央〜左に転換するため左側が戦場になりやすく、右に囲うことで囲いが終盤まで傷つきにくく安定します。
2つ目は「金銀の安定した連結」。玉の左の銀と金がしっかり連結し、最終盤まで壁として耐えてくれます。3つ目は「発展の余地」。持久戦になれば高美濃囲いや銀冠へと手待ちしながら強化でき、指し手が行き詰まりにくいのも魅力です。手数の割に堅く、拡張性も高いため、頻出の囲いとなっています。
高美濃囲い
設計思想:美濃の玉頭弱点を金上がりで解消する
美濃囲いは横からの攻めに強い一方、斜めから角で攻められるのが大きな弱点でした。高美濃囲いは美濃の金を一段上げておくことで、角や桂が玉を狙ってくる攻撃にかなり強くなっています。
美濃囲いからさらに手数はかかりますが、横への強さも一定維持しながら上部の守りを強化した、バランスの良い発展形です。美濃囲いで物足りなくなったらこの形を目指すと、自然に堅さを上げられます。
銀冠
設計思想:銀をかぶることで、全方向への守りの強さを獲得する
高美濃囲いからさらに手数をかけ、銀を玉の直上に配置した形です。銀が玉の「冠」のように頭に乗るのが名前の由来。特徴は2点で、1つは全方向からの攻めに耐久力があること。銀が玉の上にくることで上部(玉頭攻め・端攻め)にも強くなり、斜め・横にも依然強く、攻められてもすぐには詰みません。
もう1つは玉が端に逃れた時の詰みにくさ。最終盤で1七に玉が逃げた形は王手がかかりにくく、これが勝負を分けることも多いです。美濃→高美濃→銀冠と段階的に発展できるのが振り飛車の魅力。居飛車側でも左右反転した形で採用されます。ただし手数がかかるため、速攻相手には間に合わないリスクには注意が必要です。
金無双
設計思想:金銀を並べて上部からの攻めに数を揃えて防ぐ
主に相振り飛車で採用される囲いです。金銀玉が横並びになっているのが目を引くポイント。相振り飛車ではお互いが飛を左に転換しているため、玉への攻めは横方向より飛を使った上方向からの圧が大きくなります。金無双は金銀を並べて、その上からの攻めへの耐性を最大限に高めた設計です。
金2枚の横並びは連結が非常に強固で、終盤にも破るのに手数をかけさせられます。ただし角や桂で斜めから玉を狙う攻めには弱いので、その点は警戒が必要です。美濃系とは系統が異なりますが、相振り飛車を指すなら覚えておきたい形です。